そこで彼は何をしたか。こういうときに領民がいちばん不安に思っているのは、藩札(はんさつ)の交換がどうなるかということです。藩が発行する藩札は、その領内だけで通用する紙幣ですから、藩が改易(かいえき)、お取り潰(つぶ)しになれば、持っていてもただの紙屑(かみくず)になってしまう。そこで藩がなくなる前に換金しなければならないわけですが、問題はその比率です。領民にとって、藩札の交換比率はまさに死活問題です。
その当時、改易された諸藩の実情を見ると、だいたい額面の二割か一割でしか交換していません。百の藩札を持っていても、十か二十しか返ってこない。まれに五割というケースもありましたが、それは例外中の例外。藩の財政が悪い場合には踏み倒してそのまま、ということも珍しくありませんでした。
【コメント】
さて、大石内蔵助はどうしたでしょうか。
ではまた、来週金曜日に更新いたします!