第2章大石内蔵助 「昼行灯(ひるあんどん)」と呼ばれた男④

 このとき、赤穂藩の勘定奉行・大野九郎兵衛(おおのくろべえ)は、五割での交換を主張しました。

 ところが内蔵助は、これに異を唱(とな)えました。それまで藩の財政は勘定奉行が一手に引き受けていましたから、大野九郎兵衛にとって上席家老からの異論は思いがけないことだったに違いありませんし、「昼行灯」の内蔵助が、財政のことを把握しているとは思ってもみませんでした。

 しかし内蔵助は、浅野家の財産がどれだけあるかもきちんとつかんでいました。そしてこう断を下したのです。

 「主君・内匠頭様は、藩祖・長直様の教えどおりに、この国を豊かにして領民たちが喜ぶことをつねに心懸けておいで遊ばしたのじゃ。無念の想いを残された殿の御心(みこころ)を生かすには、藩札は六割をもって替えることにいたす」


【コメント】

この続きはまた、来週金曜日に更新いたします!