第2章大石内蔵助 「鉄石の集団」⑤

 多くの脱落者の中に一人だけ、自分を許せずに自ら命を絶(た)った者がいました。主君の刃傷事件を最初に赤穂へ伝えた萱野三平(かやのさんぺい)です。彼自身は最後まで内蔵助についていく覚悟を持っていたのですが、それを知らない父親が次の仕官先を決めてしまった。苦労してくれた父親の思いも、裏切るわけにはいきません。まさに忠と孝との板挟(いたばさ)みになった萱野三平は、苦しい胸の内を遺書に認(したた)めて切腹したのです。

 そういう不幸な出来事もありましたが、残った四十七人は、内蔵助が期待したとおり鉄石の集団となったのです。


【コメント】

切ないお話でした…。
ではまた、来週金曜日に更新いたします。