第2章大石内蔵助 公に尽くすは武士の本懐①

 そして儀式の行なわれる三月十四日。その朝、式次第に思いがけない変更がありました。従一位への昇進を願って桂昌院が天皇へ和歌を献上するというのです。長矩にとっては、そんな位階昇進願いが出されていたこと自体が初耳です。びっくりして老中のところへ出向くと、「その件については梶川与惣兵衛(かじかわよそべえ)(当日の世話役)と打ち合わせておけ」との指示。

 長矩が梶川を見つけたのが、あの松の廊下。そのとき吉良上野介も、梶川を探し回っていました。上野介も、式次第の変更を聞いたのは今朝(けさ)のことです。その心中は穏やかではありません。しかも、見れば梶川が浅野長矩と話し込んでいる。上野介はイライラを長矩に直接ぶつけました。

「梶川、この吉良を差し置いてそのような者に何の相談じゃ。そんな田舎(いなか)大名に、何が分かるか!」


【コメント】

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