第2章大石内蔵助 「松の廊下」の真相とは⑧

 そんなわけで「気の利(き)かない浅野」を快(こころよ)く思っていない上野介は、何かにつけて長矩に無理難題を押しつけ、困らせました。

 たとえば浅野家中が魚や鳥を使ったご馳走を作った後になって、「今日は勅使の肉親の命日だから精進(しょうじん)料理を出せ」と命じる。ただでさえ勅使一行の食事を用意するのはたいへんな作業ですから、作り直すとなるとえらいことです。今のように、スーパーに走れば何でも揃うという時代ではありません。浅野家の料理人たちは、大慌てで食材を集めるために走り回りました。

 ところがしばらくすると、また上野介から「命日というのは間違いだったから、魚や鳥をふんだんに使え」と言って来る。長矩の胸には、指南役という肩書を振り回して威張(いば)り散らす上野介への憎しみが鬱積(うつせき)してゆきました。


【コメント】


パワハラですわ…。
では、また来週金曜日に更新いたします!