第8章・聖徳太子

「官僚たちよ。欲を捨ててかからねば人民を泣かすことになるぞよ。
おのれの欲心を計るには、天を常に仰ぎ見て問うことよ」(聖徳太子)


第8章・聖徳太子 「太子憲法」は役人心得だった①

つい先日まで、日本の官僚は世界でいちばん優秀だと言われていました。それが本当だったかどうかはともかく、今やほとんど毎日のように報道される、官僚たちのデタラメな仕事ぶりを見聞きすると、がっかりの溜(た)め息ばかりが出てきます。ここ数年、どの役所でどんな不祥事があったか、いちいち並べ立てる気にもなりません。もちろん、中には真面目(まじめ)に働いている公務員の方も大勢いらっしゃるはずなのですが。

私ども、民間の立場から言えばせっかく、公僕(こうぼく)として生きる道を選んだからには、私心を捨てて世のために働くという心構えを持っていただきたいのですが、賄賂(わいろ)を取って私腹を肥(こ)やし、誰が考えても明らかな天下り団体を役所ぐるみで死守している。国民からは厳しく税金を取り立て、それを無駄遣いしても平気な顔をしているのが現状です。

でも、公務員というのは昔からそういう体質があったのかもしれません。なにしろ今から千四百年も前に、「賄賂を取るな」「天下りをするな」「税を多く取ってはいけない」とお役人の心得を説いた人がいたのです。

わざわざそれを戒(いさ)めたのは、役人は放っておくと自然に腐敗してしまうのだと、人間の本性(ほんしょう)を実に鋭く見抜いていたからでしょう。そのお方は、日本で最初に作られた憲法にそれを書き記しています。その人物とは、聖徳太子(しょうとくたいし)です。

聖徳太子が憲法を作ったのは、推古(すいこ)十二年(六〇四)のこと。ちなみに、中国大陸に世界最大の帝国を築いたチンギスハーンが憲法を作ったのは、西暦一二〇〇年ごろの話です。彼より六百年も早く憲法を作っていたのですから、聖徳太子は世界史の中でも特筆されるべきお方だといえるでしょう。


【コメント】

ニュースを観ると、天を仰ぎ見て問うことが必要な人だらけですが、普通にいても自分の生き方の分析確認は大事な事ですね。
ではまた、来週金曜日に更新いたします!