第3章・勝海舟 「美田を残さなかった曾祖父」⑦

 米山検校はそれ以外にも、越後の高田に鍼灸術(しんきゅうじゅつ)の学校を作ったりしているのですが、何より立派だと思うのは、その最期です。死期を悟った米山検校は、子や孫を集めると、自分の手文庫(てぶんこ)を枕元に持って来させました。そして中の貸付証文を取り出すと、「これを全部、火にくべなさい」と言ったそうです。

 「いったい何を言い出すんですか!」

 皆が慌てるのも当然でしょう。証文を燃やすということは、いわば札束を灰にするのと同じこと。死を前にして「おやじ様、血迷ったか?」と思ったのも無理はありません。しかし米山検校は、騒ぎ立てる子らを見えぬ目で厳しく睨(にら)み付けました。


【コメント】

では、この続きは来週金曜日に!!

今夜19:00~20:54のBSテレ東「徳光和夫の名曲にっぽん」の前半で、
三波春夫の過去映像が3曲放送されます。
お時間が合われましたらご覧くださいませ。