第2章大石内蔵助 赤穂の命は塩作り⑦

 ところが予定外のことが起こりました。あまりにも熱心に塩作りを学んでいたのが裏目に出て、ある人に「こんなに勤勉な人はいない」と惚れ込まれ、自分の家の婿(むこ)になるよう懇願されてしまったのです。それで慌てていろいろと言い繕(つくろ)っているうちに、とうとう仙台藩士であることがばれてしまった。当然、塩作りを担当していた赤穂の武士たちは、「怪(け)しからん奴め」といきり立ちます。

 このとき、絶体絶命の立場に追い込まれた三右衛門を救ったのが、当時二十四歳の若き內蔵助でした。「おのおの方、待ちなされ。その三右衛門とやらは、御家を思う忠義の人ではないか。それに、塩作りというのは天地の恵み。けっして赤穂藩の独占物ではない。それを学んだことを、盗んだなどと言い立てるほうがおかしい。そもそも塩作りに、盗まなければ分からないような秘法などなかろう。事を荒立てては、世のため人のために塩作りを始められた藩祖・長直様の名に傷がつくぞ」


【コメント】

内蔵助さん、カッコいい…。
ではまた、来週金曜日に更新いたします。