やがて船は国後沖に到着。ところがロシアの軍艦が現われたというのに、役人たちが待ち構えているはずの陣屋が騒ぎ立てる様子もない。やけに静かな陣屋を船上から望遠鏡で眺めながら、嘉兵衛さんもリコルドも「どうしたものか」と首をひねりました。
そこで嘉兵衛さんは、とりあえず平蔵と金蔵という二人の部下を上陸させ、帰国の届け出をさせることを提案。リコルドもこれに同意しましたが、余計な命令を付け加えたために、嘉兵衛さんを激怒させてしまいました。リコルドは、二人を上陸させるにあたって、「ただし二人のうちどちらかを明日、艦に戻らせろ」と言ったのです。
それまでに嘉兵衛さんと信頼関係を築いていたとはいえ、二人の日本人をただ黙って上陸させるのはリコルドとしても心配です。なにしろ陣屋のほうが何を考えているのか分からない。二人の使者が戻ってこなければ、打つ手がなくなる恐れもあるのですから、不安になるのも無理はないでしょう。
【コメント】
嘉兵衛さんの激怒の理由は、次回に。
また来週、金曜日に更新いたします。
桜の季節となりました。
三波春夫の「さくら日本花の旅」「続・さくら日本花の旅」は、
日本各地の桜の名所や、日本列島の北から南まで、土地の名前を盛り込んだ楽しい歌です。
配信もされておりますので、どうぞお楽しみください。