第1章高田屋嘉兵衛 言葉を越え、伝わる心①

 さて、何としても上官を奪還しなければならないリコルド副艦長は、態勢を整えるべく、いったん帰国しました。ところが、彼が事情をロシア皇帝に直訴しようと赴(おもむ)いたとき、モスクワはそれどころではありませんでした。時は一八一二年。あのフランス皇帝ナポレオンが、六十万余の大軍を率いてモスクワを攻撃している最中だったのです。ゴロヴニンには気の毒ですが、ロシアとしては日本にかまっている余裕なんかあるわけがない。結局リコルドは、改めて自分で解決策を模索するしかなくなりました。


【コメント】

この続きは、また来週金曜日に更新いたします。
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