私はロシアのみなさんと喧嘩(けんか)したいわけじゃありません。でも、国と国との関係にはきちと筋を通してもらいたい。筋を通そうと思ったら、この問題は原点に戻って考え直さなきゃいけません。私が思うに、北方領土問題の原点は明治八年(一八七五)五月七日に締結された千島樺太(ちしまカラフト)交換条約です。百年以上も前の話とはいうものの、約束は約束。それを守らずに、国と国の関係は成り立たないのではないでしょうか。
それに先立つ安政(あんせい)元年(一八五四)の日露和親条約では、千島列島の択捉(エトロフ)島とウルップ島の間に国境を設定していました。ところが樺太(サハリン)には両国が同居すると取り決めたため、紛争が絶(た)えません。そこで榎本武揚(えのもとたけあき)を代表に立てた日本は、ロシアの希望を入れて樺太を放棄。その代わりに千島列島を日本領とすることをロシアに認めさせたのが、千島樺太交換条約です。ここに立ち返って考えれば、北方の島々が日本の領土だということは明らかなんです。
【コメント】
「高田屋嘉兵衛」さんは、次回に出て参りますので。
さて、本とは関係ないことですが、“三波春夫のエピソード”をお伝えします。
ムカシの資料を繰っていましたら、現在放送中のNHK「エール」に登場す
る志村けんさん演じる音楽家、のモデルといわれる「山田耕筰」氏とのお話を見つけました。
昭和38(1963)年春、デビュー6年目39歳の三波春夫に「会いたい」
と、当時76歳の山田氏がおっしゃり、新聞の対談としてお会いしたのでした。
開口一番「私は貴方のファンですよ」とおっしゃり、「貴方の発声が自然であり、発音が日本語を正しく歌うことに成功しているからとても良い。こうした勉強はどこでどうしてなさったのかを是非聞かせてもらいたい」と山田氏がおっしゃって対談が始まり、三波を讃えてくださり、「どうか今後も勉強と努力を惜しまず、先頭を切って進んで貰いたい」と、それこそエールを送られて対談が終わっています。
この資料を読んでから、私のアタマには、“志村けんさんに褒められている
三波春夫”という絵が浮かんで消えません…。
それではまた、来週金曜日に更新いたします。