スターリンの演説を、ニュース映画で見たことはありました。でもスターリンは、勇ましい口調で「我々は日露戦争の仇(かたき)を討ったのだ!」と言うことはあっても、「日本から北方領土を奪った」とはけっして言わない。なぜスターリンが北方領土のことを言わなかったのかは分かりません。堂々と口にできない裏事情でもあったんじゃないか、と勘繰(かんぐ)りたくもなります。だって、領土を獲得したというのは最大の戦果じゃありませんか。ふつうなら、「北方領土を奪い取ったぞ!」と大いに宣伝したいと思うはずでしょう。
そこから始まった北方領土問題は、いまでも日露両国にとって最大の懸案事項。現在まで北方領土をめぐる論争が続いているのは、ご存じのとおりです。ソ連がなくなってロシアに戻った今、彼(か)の国の人々はスターリンを「あんなにひどい政治家はいない」と声高(こわだか)に批判しているようですが、その「ひどい政治家」が奪った領土を返そうとはしてくれません。
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続きはまた来週金曜日に更新いたします。
皆様、ご自愛なさってくださいませ。