第8章・聖徳太子 「太子憲法」は役人心得だった③

第五条は、「悪を懲(こら)し、善を勧(すす)むるは之(こ)れ古(いにしえ)よりの良典(さだめ)なり」と、信賞必罰の大切さを説いたもの。とくに大事だと思うのは、太子が「上の者が下の者に罪をなすりつけて責任逃れをしてはいけない」と言っている点です。悪いことをしたら、その罰はきちんと本人が受けなければいけない。今でも、不祥事が起きると「トカゲのしっぽ切り」をして自分は責任を取ろうとしない人は大勢いますね。太子に言わせれば、そんな人は国の「大乱の根源」なのです。

さらに第六条で太子は、「姦者官(やましきひとつかさ)にあるときは禍い(わざわ)乱れ繁(さかん)なり」と言い、「ゆえに古(いにしえ)の聖王(きみたち)は、官のために人を求め、人のために官を求(つくら)ず」としています。人のために新しい機関、つまり天下り機関を作ってはいけないということです。もし聖徳太子が今の世の中に生きていたら、退職者の受け皿として用意された特殊法人や社団法人があまりにも多いのを見て、驚くでしょうね。

税については、第十一条で触れられています。国司(こくし)、国造(くにのみやつこ)は人民から多く税を取り立ててはいけない、公にことよせて私利のために名目をつけて、租税を取り立ててはならない、と。聖徳太子の時代、年貢(ねんぐ)の率は一割でした。要するに、所得税率十パーセントということ。日本の大蔵省も、政治家も、国民が喜んで納税するように考えてほしいものです。それで足りないのであれば、税金を上げるのではなくて、役人の数を減らしたり無駄遣いをなくしたりして、十パーセントで済むようにすればいい。太子も言っているように、「民(たみ)が貧しいということは、国が貧しいということ」なのですから。


【コメント】

本文のようなことに、いつか成ってくれることを祈りまして…。
ではまた来週金曜日に更新いたします!