第3章・勝海舟 「恨みを残さず、徳を残せ」③

 話を明治維新に戻しましょう。焦土と化すのを免(まぬか)れた江戸は、やがて明治天皇をお迎えして東京と名を改め、今日にいたるまで日本の首都として繁栄しています。この東京遷都(せんと)も、実は勝海舟がお膳立てしたものでした。

 それというのも、徳川時代における江戸の役割というのは、アメリカでいえばワシントンのようなもの。政治都市ですから、大阪などと違って物を生産いたしません。そこに当時は百五十万人もの人々が暮らしていた。それが王政復古や大政奉還で江戸から政治機能がなくなったのでは、この江戸市民が食べていけません。そこで海舟は、大久保利通にこう頼みました。

 「大久保さん、この江戸を何とかしてくれないか。できたら、天皇さんをお迎えしてもらえると、今までどおり百五十万人が食っていけるようになるんだけどねぇ。どうだろうか」


【コメント】

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