第1章高田屋嘉兵衛 これぞ嘉兵衛の真骨頂①

 ここで忘れてならないのが、領土の問題です。嘉兵衛さんは、日本とロシアの人質事件だけを解決したわけではありません。ロシアが樺太や択捉での行動について謝罪したということは、そこが日本の領土だと認めたことを意味しています。嘉兵衛さんは、まさに命懸けで自国の領土を守ったというわけです。

 嘉兵衛さんは命を投げ出す覚悟で交渉に当たりましたが、強引に力(ちから)ずくで領土を守ったわけではありません。リコルドをはじめとするロシアの人々と厚い友情を培(つちか)ったことが、紛争の解決をもたらしました。相手を生かして自分も生きる、いわば共存共栄の精神がむずかしい外交を前進させたのです。


【コメント】

まさに嘉兵衛さんの真骨頂。
この続きは、来週金曜日に更新いたします。