いざ、カムチャツカへと、リコルドは船を出しました。ところが歯舞(ハボマイ)の先あたりで待ち構えていたのが、激しい暴風雨。荒れ狂う波風に翻弄(ほんろう)されたディアナ号は、もはや難破寸前です。操縦不能に陥(おちい)り、島に激突するのも時間の問題と思われたところに、自ら陣頭指揮を執(と)り始めたのが嘉兵衛さん。囚われの身で外国船の総指揮を執った人物など、おそらくは後にも先にも高田屋嘉兵衛ただ一人ではないでしょうか。錨(いかり)を下ろせ、帆も下ろせ。マストに上った嘉兵衛さんは、ずぶ濡れになりながら声を張り上げました。
【コメント】
嘉兵衛さん、かっこいいですね。
ではこの続きはまた、来週金曜日に更新いたします。