第1章高田屋嘉兵衛 幕府の命でエトロフへ②

 もともと冬の日本海というのは、難破する確率の高い怖ろしい海でした。でも河村瑞賢は積み荷の重さなどをきちんと計算して、一度たりとも船を難破させなかったといいます。今でも過積載のトラックに見られるように、輸送業者というのは、少しでも多くの荷物を積みたいと思うもの。しかし瑞賢は難破を防ぐために、積み荷の量を厳しく守らせました。輸送業で何より大切なのは、積み荷をきちんと目的地に送り届けることです。すぐ難破して荷物を台無しにしてしまうようでは、荷主の信用は得られません。

 嘉兵衛さんも河村瑞賢と同じように、けっして船を難破させませんでした。その結果、嘉兵衛さんは絶大な信頼を勝ち取ったのです。高田屋の扱いであることを示す山高印(やまたかじるし)の焼き印が押してあれば、箱を開けて数や品質をたしかめなくても、中身に間違いはないと誰もが信用するまでになった。海産物流通と輸送業に関わる者にとって、これはもう最高級の信頼性だといえるでしょう。


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