そこで陣頭指揮に乗り出したのが、児玉源太郎です。三回目の総攻撃が失敗に終わると、児玉総参謀長は業を煮やして現場へ駆けつけ、乃木大将と話をしました。この二人は、同じ長州生まれの親友同士。若いときから苦労をともにしてきた間柄ですから、乃木さんの欠点は児玉さんが誰よりもよく知っています。
乃木さんの欠点というのは、早い話、戦争が下手(へた)なこと。そう言ってしまうと身も蓋(ふた)もありませんが、児玉さんから見れば下手としか言いようがない。実際、何度やっても旅順を落とせなかったのですから、作戦に問題があったことは間違いないでしょう。
その上、乃木さんを補(たす)けるべき第三軍の伊地知(いじち)参謀長のやり方も、児玉さんには見ていられないものでした。この伊地知という人、フランスやドイツへ留学したこともあるエリート軍人で、たしかに知識は豊富にあるものの、しょせんは机上の学間、畳(たたみ)の上の水練(すいれん)。敵情を研究せずに只々(ただただ)攻める肉弾作戦を立てていたのです。その実情を知って腹を立てた児玉さん、「おまえは何にも分かっていない!」と激しいカミナリを落としました。
とにかく、乃木と伊地知に任せていたら、犠牲者がどれだけ増えるか分からない。そう判断した児玉さんは、大山巌(おおやまいわお)総司令官から正式な辞令を受けて、一時的に乃木さんから指揮権を取り上げることにしました。これは前代未聞と言うべき、きわめて異例の措置ですが、そういうことができたことは見習いたいものですね。
【コメント】
本年第1回目のブログ、お読み頂きましてありがとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
さてこの後、児玉さんはどのように進めるのでしょうか。
また来週金曜日に更新いたします!