「山本よ。そんなことを言われたのでは、俺は生きてゆけぬ」
辞任を勧告された日高壮之丞は、そう言って山本の目の前に短刀を差し出しました。
「さあ、これで俺を刺してくれ!」
「いや日高さん、それは考え違いだ。ここは国家のために、個人の面子や自己主張は捨てるべきだと考えてください。何も私はあなたが無能だから辞めてくれと言ってるんじゃない。
あなたは実に優秀な人です。しかし、それゆえに、頭が切れすぎて部下の言うことに耳をかさずに、相手が恐れ入るまで自分の意見を通す。しかし、それでは困るんだ。まわりの意見を取り入れて、人材を活かすようにしないと勝てないのです。分かってください、先輩」
山本は、後任の司令長官として東郷平八郎の名を挙げました。東郷というお方はひじょうに穏やかな性格で、部下や参謀の意見にじっくり耳を傾けてから判断を下す人物だったそうです。
山本大臣のまさに心を込めた男の言葉に日高長官は、「分かった。おまえの言うとおりだ」と言って短刀を収め、自ら身を引くことを承知しました。
【コメント】
では、この続きはまた来週金曜日に更新いたします!
今夜19時からは、BSテレ東「徳光和夫の名曲にっぽん 長編ドラマチック歌謡2時間スペシャル」が放送されます。
三波春夫の長編歌謡浪曲やセリフ入りの歌を、いろいろな方が歌い継いでくださっています。
どうぞお楽しみくださいませ!