第5章・二宮尊徳「借りない金を返しなされ」②

借りてもいない金を返してよこせ、そうすれば誠意を認めようという驚くような条件を出された円蔵ですが、尊徳の言葉からあふれるような人間愛を感じたのでしょう。その日から毎日毎日、借りない借金を返済し始めました。それを知った村人たちは、名主が約束を無事果たせるようにと願って精を出して働き、横田村は活気付いていきました。そしてとうとう五年後、約束は果たされました。尊徳は皆とともに喜んで、

「よくやった。わしが思ったとおり、おまえ様は立派な名主様じゃ。努力なされた毎日が手本となって村がまったく見違えるほどになった。わしはこんなに嬉しいことはありませんぞ」

そして、三ヶ村の中でも飛び切りの家を造ってやったそうです。費用は百両余と記録されておりますが、さらに名主の分家も二軒建ててやり、その誠実精励(せいれい)ぶりを讃(たた)えました。天保(てんぽう)五年(一八三四)の建築ですが、現存しています。尊徳の哲学が実行された一例といえますね。


【コメント】

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