第5章・二宮尊徳「十六年がかりの財政再建」③

また、藩主・忠真の命令に反発した重臣たちもいて、「武士の面子(めんつ)こそ大切」と納戸(なんど)役の某(なにがし)を、事もあろうに尊徳より上役に就(つ)けて派遣しました。これには先生も困りました。 藩主との約束に外れているというのに、まったくお侍さんは弱ったものだ。代々の世襲で、飯(めし)に困ったことのない人たちの考えは、民衆とまったくかけ離れている、とあきれたことでしょう。

陣屋到着の翌日から巡視を始めて、働く人々に声をかけて廻り、困っている家を訪れて話を聞いて勇気をつけてやるという人情家二宮尊徳の姿は、天才的な計算に基づく改革案とともに人々の信頼を集め、かくして、波瀾万丈(はらんばんじよう)の桜町仕法は十六年間の苦心の末に成功しました。

ある時、旅人がこの領分を通ったとき、道路の美しさや田畑の耕作ぶりを見てびっくりし、「まるで夢の国を歩くようだ」と言ったそうです。


【コメント】

いいですね、尊徳先生…。
ではまた、来週金曜日に更新致します!