しかし首謀者たちの処罰を終えた後、清盛は御簾(みす)の中で身を縮める後白河法皇に向かって、こう報告したそうです。
「申し上げます。このたび平氏打倒の企てがございましたが、これは世を乱すことゆえ、事件に関与した者どもは厳しく処断いたしました。これも世のため君がためでございます。これで天下は平穏になりましたので、どうぞご安心くださいませ」
「あなたが陰謀を仕組んだんだろう!」と糾弾(きゅうだん)されるより、こんなふうに言われたほうが、法皇にとってはよほど堪(こた)えたと思いますね。言外に、「こんど同じようなことがあれば容赦しませんぞ」というメッセージが込められているのは明らかです。相手をとことんまで追い詰めず、しかし押さえるところはしっかり押さえる。見事な裁き方でありました。
【コメント】
文中の清盛の言葉は、勿論、三波春夫が書いたセリフですが、役者だったら言ってみたい、演じてみたいセリフではないでしょうか。
台本を書ける歌い手であった三波春夫は、セリフも演じていましたので、書き手としてもウマイのかも知れません。
ではまた、来週金曜日に更新いたします。