第6章・児玉源太郎 「日本を救った四十八サンチ砲」③

「乃木、一週間だけ俺に任せろ」

そう言って児玉さんが陣頭指揮を取り始めたのが、十一月二十九日のこと。その言葉どおり、一週間後の十二月五日には旅順港を見下ろす二0三高地を占領してしまったのですから、何とも凄い人です。まさに戦(いく)さをさせたら右に出る者のない、天才的な人物だったと言えるでしょう。

とくに児玉さんが重視したのは、武器の問題です。これは同じ長州の先達、あの高杉晋作(たかすぎしんさく)の影響かもしれませんね。奇兵隊(きへいたい)を組織した高杉晋作は武器の力をよく知っていました。高杉晋作の奇兵隊は、足軽(あしがる)・藩士・百姓・町人など身分を問わずに集めた、義勇軍のようなものです。その奇兵隊に高杉晋作は近代的な軍隊としての訓練を課し、新式の武器を与えました。たとえば第二次長州征伐のときには、十六万もの幕府軍をわずか八千の長州軍が打ち破りましたが、この長州軍の半数は奇兵隊。寄せ集めの幕府軍に比して、奇兵隊が軍としてしっかり統率されていたことも大きな勝因ですが、やはり持っている武器の差がいちばん大きかったのではないでしょうか。

私自身、満州でソ連軍の機械化部隊を目の当たりにし、それに引きかえ自分たちの武器はあまりにも貧弱で情けない。私は、日本という国がかわいそうになって、思わず泣きました。どんなにやる気を持っていたところで、武器に差があったのでは勝負になりません。


【コメント】

この続きはまた、来週金曜日に更新いたします!