第4章・平清盛 「青葉小枝の笛」④

「ああ、なんたることか。 お助け申そうにも、もはや道はありませぬ。 お許しなされ。拙者は武蔵(むさし)国の熊谷次郎直実と申しまする。 公達はさぞご身分高きお方と存ずるが、なにとぞ、御名をお聞かせください」

涙ながらに語りかける直実の問いには答えず、 敦盛は腰に差した横笛を見せました。

「名乗らずとも、天下に知られたこの横笛をご覧になれば、私の身分は分かりましょう。 この青葉小枝(あおばさえだ)の笛は、わが祖父が帝(みかど)からいただいた名器。さあ、わが首を斬りなされ」

砂浜に座り直し、目を静かに閉じて西に向かって手を合わす敦盛。

「許させたまえ!」と叫んで、直実は太刀を振り下ろしました。


【コメント】

究極の気高さですね…。
ではまた、来週金曜日に更新いたします!